第2課題 第1設題
本課題では、裁判における目撃証言の証拠能力について述べる。
犯罪捜査において目撃者の証言は非常に重要な手がかりの一つになる。目撃者の証言は、事件に関わる人々の人生を大きく左右する重要な意味を持っている。しかし、目撃証言はわれわれが考えるほど正確なものではないと言うことが、さまざまな実験研究によって明らになっている。目撃記憶にはさまざまな要因が影響を及ぼしている。要因の分類についてはいくつかの方法があるがSporer は3つに分類している。目撃者側の要因、目撃対象の要因、状況要因である。状況要因の中で注目される効果が凶器注目効果と事後情報効果である。凶器注目効果は凶器の存在によって注意は凶器に向かい、凶器を手にした人物を含む凶器以外の事物に対するその後の識別が低下するというものである。しかし、犯行現場を見たことによる情動ストレスを感じた結果、その事が有効視野の狭窄を招き問題の人物の識別を低下させたのかどうかは明らかではない。事後情報効果はある出来事を目撃した後にその出来事に関する誤った情報に接することによって、その誤った情報を取り込んでしまう現象である。これに関す...