(1)公示の原則
物権は、物に対する直接的な排他的支配権であり、同一物につき他人の同じ内容の物権の成立を許さない(物件の排他性)強力な権利であるから、その所在及び変動は、物権者以外の者の利害に与える影響が大きく、物権変動を第三者に公示する必要がある。そこで、「公示の原則」が規定された。
公示の原則とは、物権変動を第三者に主張するには、外部から認識できる一定の徴表的な形式(登記、占有等)が伴わなければならないとする原則である。また、本原則は、物権変動があるにもかかわらず、公示がない限り物権変動はないであろうと信頼して、元の所有者から所有権を取得した者を保護するという意味において、消極的信頼の保護といえる。民法は、不動産について177条で、動産については178条で公示の原則を定めている。なお、不動産については「登記」、動産については「引渡」が公示手段とされている。
(2)隣地通行権と通行地役権
Aが道路に十分に接していない土地を所有していると、道路に出るために他人Bの土地を通行する必要が生ずる場合がある。そこで、Bが所有権(206条)を理由として、Aの通行を妨害しようとした際に、Aが主張...