民法(物権) 取消と登記をめぐる判例理論
民法2(物権)
「取消と登記」をめぐる判例理論を説明し、それを論評せよ
取消とは、意思表示に欠点があるために不確定的に有効とされる法律行為を、法律上定められた一定の事由に基づき取消権者の意思表示によってさかのぼって無効にすることである。取り消された法律行為は最初から無効であったことになり、詐欺による意思表示の取消以外の場合には、取消権者はすべての第三者に対して取消の効果を主張できる。
では、例えばAが不動産をBに売却し、Bがさらに第三者であるCに転売した後で、AがBとの売買契約は詐欺であると知り、契約を取り消した場合、AはCから無条件に不動産及び登記を取り戻すことができるのか。という様に、すでに行われた物権変動を基礎に第三者が生じる場合がある。この場合に、「取消」の遡及的無効の効果はどうなるのか。また、対抗要件としての「登記」はどのように機能するのだろうか。
大判昭和4年2月20日の判決では、取消を第三者に対抗しうる場合には抹消登記の回復の無い間でも取消の効力を登記上の利害関係に対抗しうるとした。また、脅迫によって抵当権を放棄し、その登記を抹消した者が、後日その放棄行為を取...