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無料で見れます!東京福祉大学 知覚・認知心理学 レポートB+評価 設題2:人の感覚・知覚等の機序、人の認知・思考等の機序について、いずれかを選択して述べよ。 |
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東京福祉大学の知覚・認知心理学のレポートです。
科目名:知覚・認知心理学 科目コード:3610
設題:人の感覚・知覚等の機序、人の認知・思考等の機序について、いずれかを選択して述べよ。
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人の感覚・知覚等の機序について述べよ。
私たち人間の情報処理は感覚、知覚、認知の3種類に分けることができ、この順に高度で複雑なものになっていく。本稿では主に、感覚と知覚の機序について述べていく。
まず感覚とは色や明るさなど、単純な情報処理のことであり、人間は外界の情報を視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感を通じて受け取り、それを脳で処理することによって世界を認識している。五感は、それぞれ特定の刺激を受け取る役割を持ち、それを神経信号に変換して脳へ伝える。以下では、各感覚の仕組みについて詳しく説明する。
視覚は感覚器である目を通して情報が脳に送られている。光という刺激が目に入ってきた時、角膜で光を屈折させて焦点を合わせる、虹彩で光の入る量を調整する、水晶体で厚みの調整をする、硝子体で眼球の形を保つ、網膜で光を感知するという順番で、神経を通って脳へと伝えられていく。
聴覚は、耳が空気の振動を捉え、それを神経信号に変換することで成り立つ。外耳が音を集め、中耳の鼓膜が振動することで音のエネルギーが増幅される。その後、内耳の蝸牛という器官に伝わり、そこにある有毛細胞が振動を電気信号に変換する。この信号は聴神経を介して脳の聴覚野に送られ、音として認識される。
触覚は主に皮膚によって、情報を得ている。皮膚は、表面から近い順に表皮→ 真皮→ 皮下組織といった層構造になっており、表皮は皮膚を外部からの物理的、化学的、紫外線などの刺激から保護、真皮は皮膚の保湿や保温、体温調節、皮下組織は外部からの衝撃や振動から身体を守る役割を担っている。
味覚は、舌にある味蕾と呼ばれる器官を通じて機能する。味蕾には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の五つの基本味を感じ取る。それぞれの味は異なる化学物質によって刺激され、電気信号に変換されて脳へ伝わる。また舌は、食べ物を咀嚼する役割も担う。舌の筋肉を使って、食べ物を口の中で噛み砕き、よくかき混ぜることにより、唾液と混ざって消化が始まる前処理がされる。
嗅覚は、空気中に感じるにおいの分子を感知し、それを脳に伝えている。嗅覚の主な役割は、物が燃えた際の煙や腐った食べ物などの異常事態を察知し、自分を守ることである。こうした匂いは、鼻の中に入ってきた匂い物質が鼻内の粘液に包まれて嗅覚受容体にくっつき、そこから匂い物質の情報が電気信号として嗅神経を介して嗅球に伝わり知覚することになる。
そして五感以外の感覚で、身体に関連する感覚として挙げられるのが、運動感覚、平衡感覚、内臓感覚である。運動感覚は,骨格筋や腱,関節の受容器に基づいた,身体各部の位置や動きを知る感覚で,自己受容感覚あるいは深部感覚とも呼ばれる。内臓感覚は,身体内部の内臓の感覚受容器に基づく感覚で,空腹,満腹、尿意などの臓器感覚と,局在が不明瞭で不快感や吐き気,冷や汗などの症状を伴う内臓痛覚がある。平衡感覚は、半規管と耳石器から刺激を感知している。半規管は、頭部が回転すると、管内のリンパ液が移動し,運動を感じ、耳石器は、頭部の傾きや直線加速度を検知して、身体のバランスを保つことができる。
次に知覚とはリンゴは赤いという感覚に加え、形や大きさも表し、その情報を脳で処理することで認識が成立する情報処理過程である。知覚には、同化と対比と呼ばれる重要な基本特性がある。この二つは相反するものであるが、互いに協調し合うことで生体にとって意味のある視覚情報の構造化を行っている。また他の知覚現象として順応や体制化、錯視などがある。
私たちは暗い部屋で急に電気をつけても時間がたてば眩しくなくなったり、映画館などの暗いところでも時間がたてば慣れてくる。このような環境や状況の変化に適応することを順応と呼び、順応は明順応、暗順応に分けられる。次に体制化とは視野の中にあるさまざまな要素が、一定の法則に基づくまとまりとして知覚されることであり、体制化には近いものがまとまって見える近接や同じ色や形のものがまとまって見える類同などがある。錯視とは視覚における錯覚のことであり、身近な例として高速道路の白い白線がある。この白い白線によって道路の幅が狭く見えて運転者は速度を落とし、注意して走行することを心掛けるといった仕掛けがある。
さらに情報処理の観点から知覚について考えるときに重要な働きを持つ心理機能に、「注意」がある。認知心理学において、注意とは情報の選択を行うプロセスを指す。我々は普段から多くの情報に囲まれて生活しているが、膨大な情報の全てをいつも認知しているというわけではない。誰かと待ち合わせをして相手を見つけた時には、周りの人々の顔も同様に目に映っているが、その人の顔は群衆の中で浮かび上がったように知覚される。このように注意には、多くの情報の中から,一部の情報だけを選択する働きがあり、情報の選択は、認知資源の集中と捉えることもできる。こうした注意の機能を認知心理学では、選択的注意と呼び、研究者のチェリーは、選択的注意の働きを「カクテルパーティ効果」と名付けた。
このような、注意による情報の選択は、有限の認知資源を選択対象に集中させることとも捉えられる。認知資源にはさまざまな使い道があり、必要に応じて貴重で有限な資源を使い分けられる。しかし、注意には1つの作業に集中しすぎると、他の作業に集中することができないといった側面があり、二十課題法により認知資源の総和がほぼ一定なことも分かっている。
ここまで、人の感覚・知覚等の機序について述べてきた。感覚と知覚は人間が世界を理解するのに必要なプロセスであり、感覚は五感を通じて得た情報を脳に送り、知覚は、その情報を脳で処理することで認識を成立させる。こうした感覚と知覚の機序については、未だに解明されていない部分も多く、一刻も早く解明し、それを世の中に活かすことが期待されている。
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