未知の現象を神話で理解してきた人類が、科学により不確定要素をコントロールできるまでに至る過程を多くの例により分かり易く伝わってきし、人類とは何か、「進歩」とは何かをあらためて考えさせられた気がした。前半は古代ギリシャのサイコロ・ゲームから始まって、パスカルやベルヌーイなどによる確率論の進化を説いている。それも、ただ詳しく歴史を記述するといった教科書的なものではなく、小説のような生き生きとしたストーリー展開で、読んでいくうちに本当に自分がリスクについて書かれた書物を読んでいるのかと思うほどだった。
まずこの本を選んだ理由であるが、先生の授業に励まされこの人の推薦図書は一度読んでおくべきだろうと思ったことにある。さらに僕はこの著者であるピーター・バーンシュタインの「ゴールド 金と人間の分明史」が大変面白かったのでこれならまた何か学べるのではないかと思ったのである。実際本は売り切れのところが何軒かあり、学校の図書館も貸し出し中で手に入れるのが非常に困難だったのではあるが…。
この本を読んでみて驚いたのはこの本の書体というか文章構成。未知の現象を神話で理解してきた人類が、科学により不確定要素をコントロールできるまでに至る過程を多くの例により分かり易く伝わってきし、人類とは何か、「進歩」とは何か...