長さや、重量を測るのと同じように、長いとか重いという感覚を測ることはできるのであろうか。ここでは主観的な間隔の大きさの測定と、その測定に用いる尺度について考えてみたいと思う。
〔感覚の測定〕感覚の測定を考える場合、感覚には質的な感覚と量的な感覚があるとする議論に注意しておく必要がある。たとえばStevensは、音の高さは、質的な感覚で、音の大きさは、量的な感覚であるとして、それぞれをメタセティック(metathetic)連続体およびプロセティック(prothetic)連続体と呼んで区別する。音の高さに対応する物理刺激は、音の周波数であり、周波数の違いによって、蝸牛基底膜の異なる場所が興奮する。このように、刺激の変化が異なる場所の興奮に対応する場合がメタセティックで、質的であるから測定になじまない。これに対して、音の大きさは、音の物理的な強さの増減に対して変化し、蝸牛基底膜の同一場所の興奮の増減と対応する。このように刺激の変化が同一場所の興奮に対応する場合がプロセティックで、感覚の変化が量的な次元でとらえられ、感覚の軽量が可能である。しかし、どんな感覚もこの2つに峻別できるかどうかに関しては、いろいろの議論もあり、印東と共にStevens自身は最初質的と考えていた色相や色の飽和度が純粋にメタセティックでないことを示す実験を行っている〔Indow&Stevens、1996〕
〔測定と尺度〕すべての感覚が測定できるとは限らず、量的な次元で示される主観的経験としての感覚のみが測定の対象となる“ある量”をもつとしよう。次の問題はこの“ある量”を測定することである。測定は、規定に従って対象と数字との対応関係を確立する方法であるが、このためには尺度が必要となる。どのような規則を当てはめるのかによって尺度の型がきまるが、一般に名義尺度、順序尺度、間隔尺度および比例尺度の4つがあげられる。
目的
長さや、重量を測るのと同じように、長いとか重いという感覚を測ることはできるのであろうか。ここでは主観的な間隔の大きさの測定と、その測定に用いる尺度について考えてみたいと思う。
〔感覚の測定〕感覚の測定を考える場合、感覚には質的な感覚と量的な感覚があるとする議論に注意しておく必要がある。たとえばStevensは、音の高さは、質的な感覚で、音の大きさは、量的な感覚であるとして、それぞれをメタセティック(metathetic)連続体およびプロセティック(prothetic)連続体と呼んで区別する。音の高さに対応する物理刺激は、音の周波数であり、周波数の違いによって、蝸牛基底膜の異なる場所が興奮する。このように、刺激の変化が異なる場所の興奮に対応する場合がメタセティックで、質的であるから測定になじまない。これに対して、音の大きさは、音の物理的な強さの増減に対して変化し、蝸牛基底膜の同一場所の興奮の増減と対応する。このように刺激の変化が同一場所の興奮に対応する場合がプロセティックで、感覚の変化が量的な次元でとらえられ、感覚の軽量が可能である。しかし、どんな感覚もこの2つに峻別できるかどうか...