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「福祉国家の思想と原理について述べよ」
第二次世界大戦中の1942年に、イギリスでは戦後の社会保障に関する包括的かつ体系的な報告書「社会保険および関連サービスに関する報告」が発表された。この報告書は当時のイギリスの社会保障委員会委員長ベヴァリッジの名前から、ベヴァリッジ報告と呼ばれている。
この報告書のなかで提起され、福祉国家の発展に重要な貢献をした概念にナショナル・ミニマム(国民的最低限)がある。
この概念は社会保険を中核とする所得保障制度の構築にあたり、その達成目標として設定されたものであり、国民の必要最低限度の生活費を国家が一律に保障することを内容としている。それまでは理念的にとどまっていた社会保障のあり方にベヴァリッジ報告は、具体的な内容を与えた点で画期的な意味を持つ。
ベヴァリッジ報告の中で、イギリス社会が立ち向かうべき問題として「窮乏」「疾病」「無知」「不潔」「無為(失業)」が挙げられ、これらを人々の生活を脅かす「五巨人悪」と呼び、ベヴァリッジは報告書の中で「窮乏」に集中した。これはその他4つの害悪が重要性を持たないからではなく、窮乏こそ包括的な社会保障によって直...