国文学概論 分冊2

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    「明治・大正期の文学作品の中から一つを選び、それを熟読・分析する中から、次の課題のいずれかに答えなさい。」
    ②「男」と「女」とが、どのように書かれるかを見て、「文学」の役割について考察しなさい。
    〈キーワード〉
    ○メディア ○時代思潮 ○作家の環境 ○作品の構造 ○政治と文学
    明治・大正期の文学作品の中から、武者小路実篤の『友情』を取り上げて考察していく。
     『友情』は、大正八年一〇月一六日から一二月一〇日まで、計四八回にわたって『大阪毎日新聞』に連載されたものである。明治末期の文壇の主流を占めたのは自然主義文学であったが、それに対立する反自然主義の立場をとったのが白樺派であり、大正期の文芸思潮を代表するようになる。
     実篤は白樺派の代表的な作家の一人であり、白樺派は必ずしも事実のままが正しいわけではないと考えていた。大正期のヒューマニズム運動で自由・民主主義という時代思想の中、人間の生命を高らかに謳い、「理想主義」「人道主義」「個人主義」を主張し、大正期の文学の中心となったのである。
     実篤は明治一八年、上流階級の武者小路家に生まれた。学習院から一緒の志賀直哉らと共に白樺派として活動...

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