最終氷河期以降の気候変化を踏まえた上で、現在の気候について論ずる。第一に、最終氷河期以降気候がどのように変化したかを論ずる。第二に、現在の気候について論ずる。
一、最終氷河期以降の気候変化について
最終氷河期とは、第四紀の中でも気候変動が激しく氷期・間氷期を繰り返した時代の最後の氷期をさす。最終氷河期は、約1万年前に終わっており、気温も現在よりも5℃程度低かったといわれている。その後、約1千年をかけて現在の地球の気温水準にまで達し、以後9千年は安定した気候が続いていた。この安定した気候が崩れたのは、産業革命以後の近代的な工業社会になってからで、平均気温が急激に上昇しはじめた。この平均気温の上昇速度は、最終氷河期が終わった約1万年から産業革命前までの気温上昇速度と比較すると異常と言え、自然に起こる変化に原因があるものとは考えづらい。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、産業革命のおきた一九世紀以降百年の間に上昇した地球の平均気温は、0.3℃から0.6℃と発表されており、このままの速度で地球が温暖化していくと、2100年には現在の平均気温から2℃ほど上昇すると予測だてられている...