「保育・教育等の現場における音楽活動がなぜ必要なのかを述べよ。」
1.はじめに
人間は常に音の中に生きている。人間は生まれる前から母の体内で胎内音を聴き,また生まれてから死ぬまでさまざまな音を聞き続ける。人間の基本的感覚である聴覚を用いて生まれた「音楽」は,時には人に感動や安らぎを与え,行動力や能率を高めてくれるといった効果があるとされ,人の感情を表現する際に適切な手段である。音楽の力を最大限に利用して,心身共に健康へと導いてくれる「音楽療法」と呼ばれるものも存在する。教育現場においても,音楽は重要視されている。本稿では,小学校音楽科の授業を行う際に留意すべき点について考察すると同時に,音楽活動の必要性に考えていくこととする。
2.学習指導要領における音楽科の目標
平成23年4月から全面実施された新学習指導要領 第2章 第6節 音楽の目標は「表現及び鑑賞の活動を通して,音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育てるとともに,音楽活動の基礎的な能力を培い,豊かな情操を養う。」と示されている。つまり,教師は,音楽に触れていく活動を通じて,児童たちに身の回りにある音楽に気付かせ,自己を表...