リーマンショックを境とした日本企業の国際貿易の変化について説明しております。
リーマンショックにより日本を含む先進各国はマイナス成長に陥ったが、中国やインド等の新興国は政府による景気対策等によって内需が活性化することで高成長を維持し、その需要を獲得するために日本は新興国への戦略に取り組み始めた。図表1を見てわかるように、リーマンショック前と比べて直近のアメリカとEUへの輸出額は5〜6割程度の回復であるが、中国とインドへの輸出額は8割以上にまで回復している。これは戦後長らく続いてきた欧米向け輸出の依存体質からの転換が始まったといえる。しかし円高が続いていることや新興国の人件費の安さから製造業等の輸出競争力には懸念もあり、生産拠点の移転や現地販売の取り組みも増加している。
図表1:日本企業の輸出額の推移(2008年1月〜2010年6月)
出所:財務省の統計を元に作成。注意:単位(億円)。
以前から中国へ進出していた日本企業は多数あったが、メインターゲットは北京、上海、広州など沿岸部主要都市の一部の富裕層であった。しかし、2008年11月に中国政府が打ち出した4兆元の投資拡大策が主にインフラ整備の遅れた内陸部に投入されたことや、また農村部を対象に家電購入や自動車買...