『タクト・タイム』。トヨタが自動車を製造する上で、部品の調達から組み立ての間には、様々な工程(プロセス)が存在します。トヨタが自動車の製造に必要な素材の提供を受けてから、高加工度・高付加価値の製品を製造するということです。このことを、加工組立型産業といい、従来の石油化学工業のような重化学工業分野の属する装置型産業の低加工度の産業とは違い、自動車を製造する工程のラインを形成する流れにおいて、タクト・タイムとは、完成品がそのラインから送り出される時間間隔のことであり、一方、サイクル・タイムとは正味加工時間であり、サイクル・タイムに停滞時間や待ち時間も加えた経過時間の全体がタクト・タイムということになります。流れ生産における生産計画の最も基本的な指標であり、サイクル・タイムを短縮しても生産期間が縮まるとは限らなくなります。がしかし、タクト・タイムを縮められることになると、生産期間が短縮できることになります。このタクト・タイムの概念を共に持ち理解することが、まさに、世界に恐れられているトヨタ自動車の生産方式の出発点といえることになります。
第二に、『仕事の標準化』です。作業が均一のリズムによって切れ目なく流れるためには、トヨタ自動車では工場内のすべてのワークステーションにおける作業を標準化するように配慮されています。標準化は、必要なタクト・タイムの中で作業が安全かつ快適に遂行されることを保証し、安定したコストと高品質の維持につながっています。
第三に、『自働化』が挙げられます。この自働化の「働」の部分に動とは違い「にんべん」がつくことになります。工場で自動車を生産しているライン上で何か異常があった時は、自ら異常を判断し、自動停止してくれることをいいます。
世界システムの経済地理を理解するにあたり、私は、日本の工業の中心とも言える、自動車産業の発展に沿っていきたいと思います。自動車産業の発展の歴史から見ていくと、GHQの時代までにさかのぼり、1949年のことである、当時のGHQはこの年に自動車の生産制限を解除し、日本の社会にも自動車市場が生まれました。当時はトラックが生産の大半で、「乗用車1000台、バス1000台を加えて、年産28700台に過ぎなかった」 そうです。しかし、今日では、徹底的な自動車産業否定者であった、かの有名な日銀総裁の一万田総裁が言った、「日本では自動車産業が成り立たない。」と、言われたのが嘘のように、これまでに日本の経済が自動車産業中心として発達していったと言えます。
しかしやはり、これは他産業とは違ったシステム構造にあり、独自に建築されたシステム構造(=アーキテクチャ)が存在し、各会社の将来を見据えた向上心がそこにあるからだと思います。ここからキーワードを説明するにあたり、とりあげていくのは、自動車産業または日本の産業をリードしつつある『トヨタ自動車』です。
世界の自動車業界の1位の座に就いているアメリカのゼネ...