精神看護学(精神障害に対するイメージについて)

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    資料の原本内容

    私にとって、精神障がい者とは理解し難い疾患を持つ方々である。精神障がい者について、「妄想と現実の区別ができず善悪の判断がつかない」というイメージがあった。精神疾患によりどのような症状がでるのか、治療が可能なのか等を理解しておらず、ただ「怖い」という気持ちだけが先に立っていた。

    「罪なき殺人者」「揺らぐ精神障害者の開放」を読み、精神障がい者の社会復帰は非常に難しく多くの問題を抱えていると考えた。その理由は、治療により症状がどのように改善されたか周囲に分かりにくく、また、精神疾患が原因となり殺人が起きたことで、世間の偏見が強くなっていると考えるからだ。私のイメージする精神障がい者は、叫ぶ・暴れる・武器を振り回す・などである。しかし、実際には静かに過ごしている方々も多いことは知っている。それでもイメージとして直ぐに思い浮かべることは、乱暴な行いをする患者像である。授業の中で精神障がい者の殺人件数は少ないと習ったが、これは私には意外であった。なぜなら実際に取り沙汰される殺人事件では「心身喪失」「心身耗弱」などの精神疾患による責任能力問題を取り上げることが多く、精神疾患と殺人の関連性が強くイメージづけられていたからである。さらに事件が起きると精神疾患の部分が強調される場合が多く、メディアにより、「精神障がい者」に対して否定的なイメージが植えつけられていたからである。

    精神障がい者が長期入院し地域と隔絶された状況にあることは、世間の人たちも精神障がい者と触れ合う機会がないということだ。そのため精神疾患に対しての知識が乏しく、精神障がい者に対して否定的なイメージを持つ人が多くなってしまったのだろう。長期入院を余儀なくされた患者が地域に帰る場合は、地域住民に少なからず不安と緊張を与える。地域で受け入れた際に身近で恐ろしい事件が起きるのではないか、などを考えるとその患者に対する周囲の監視が強くなる。患者家族も周囲の目や患者の精神状態などを考えると、患者の受け入れに抵抗が生まれ、その結果、精神障がい者の社会復帰がさらに困難となる。

    精神障がい者が社会復帰するための受け入れ先を見つけることも、地域へ戻るための問題の一つである。共生住宅は短期入居の場合が多いが、一般の賃貸住宅への入居も困難な状況である。私は6年間不動産管理の仕事に従事している中で、精神疾患をもつ方を入居者として受け入れたことがあった。しかし、入居後に妄想が強くなり健常者の隣人に対し問題を起こした。その入居者は再入院となり退去したが、その後の精神障がい者の入居は全て断る会社方針となった。このような経験から、一般的な賃貸住宅への入居は難しく、疾患回復に至っていない精神障がい者が、地域で回復を目指すという試みは困難な状況にあると考える。今後、グループホームや共生住宅を増やすとしても、地域の理解がなければ開設は難しい。地域の理解がなければ、偏見の中で患者が肩身の狭い窮屈な生活を余儀なくされるであろうし、回復のための健全な生活を営みにくいと考えるからだ。また、疾患が悪化して地域住民とトラブルを起こした場合に、どう対応するかも難しい問題だと考える。そのため、これらのサービスを行う場合は近隣住民との話し合いを事前に行う必要があるだろう。地域住民に対し正しい理解が得られるような講習を行うことも必要だ。知識のない誤解と偏見の視線の中に患者を帰すことは、患者にとってストレスとなり、返って疾患を悪化させる原因になると考える。

    「揺らぐ精神障害者の開放」から、病院側が患者の退院を判断する材料が明らかに不足していると感じた。しかし、回復に向かう患者の行動制限を行うことは社会活動へのリハビリが行えないだけでなく、患者の人権問題に関わるとある。そして、外出した患者を観察するのは難しいため、判断材料が不足したままの退院となる。だが、患者や患者を取り巻く人間の安全を守るためには、現状を変えていく必要があると強く感じた。宇都宮事件から精神科病院は患者の人権問に題対し過敏になっているが、それにより患者の状態を正確に把握しきれていないのではと考える。そして、入院者数と専門家数の割合に偏りがあり、患者が社会に戻るための基準に達しているのかを時間をかけて観察することが難しい状況にある。私は、患者を守るためには、退院前に徹底した観察を行う必要があると考える。精神障がい者と地域との隔てをなくすために、人権の重視も大切だが、どこまで患者のプライバシーに踏み込み患者の状態を把握していくのか、どのように専門家を確保していくかを考える必要がある。

    今後、精神障がい者が悲しい事件を起こさずに地域に受け入れられ疾患から回復するためには、多くの問題が精神障がい者を取り巻いている。この問題を確実に解決し、早期に地域へ戻るためには、病院や地域が協力できるように、信頼関係を築く必要がある。

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