現代社会と福祉2

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    資料紹介

    『現代社会と福祉2』
    「福祉政策の現代的課題についてのべなさい。」

    資料の原本内容

    『現代社会と福祉2』
    「福祉政策の現代的課題についてのべなさい。」
     現代社会は多様化・複雑化・高度化している。そのため、社会福祉には一般社会サービスとの連絡・調整・連携を視野に入れた協働アプローチが必要となってきている。これからの社会福祉は、地域の閉鎖性によるではなく、外に開かれた地域を創造することで実現する場にすることが求められている。
     社会福祉の領域では、格差社会、ホームレス、外国人問題、社会的ひきこもり、虐待など様々な問題があり、解決が迫られている。これからの福祉政策は、これらの個別問題のなかから①地域社会に対して共通する政策課題と②地域住民が支えあう実践的課題を文節する必要がある。
     ①の政策課題は、地方政府の政策や施策としての対応であり、自治体が政策対象として排除していた問題を政策として包摂すること、窓口が対象別であったものをワンフロアに総合化すること(ワンストップサービス)などが求められる。また、市場のサービスが行き届かなかったりする地理的に不利な居住地への行政サービスのアクセス保障など公平化も求められる。
     ②の実践的課題としては、ホームレスなどの社会的排除や障害者に対する地域コンフリクトの克服、外国人の生活様式を理解するための異文化交流、交通弱者や災害弱者などの社会的弱者への支援プログラム、マイノリティの市民権の獲得への取り組みなどが求められる。
     これらの問題を解決する理論として、①福祉政策面では、中央政府によるナショナル・ミニマム、地方政府におけるセーフティネット、②実践面では、ノーマライゼーションに基づく個別福祉問題の解決とソーシャルインクルージョンの概念を基本とした小地域福祉活動の組織化の方法を統合化したコミュニティ・ソーシャルワークが有効である。
     福祉政策を進めるうえで、新たな公共論が唱えられている。公共性とは、行政機関における民主的運営のあるべき姿として、住民の基本的人権を侵害せず、住民が合意するために決定過程に参加することなど民主的な手続きによらなければならないという考え方である。新たな公共に求められるのは、社会福祉制度の運営手続き面の欠陥を克服し、地域社会の希少資源を有効に活用しつつ新しい価値を創造することである。そこでは、公共性の構成要件である「公平」と「効率」を積極的に両立させることが求められる。
     その方法理論として「ローカル・ガバナンス論」が注目されている。ローカル・ガバナンスは、「よき政府」という意味に加え、公共的諸問題の解決に政府だけでなく、民間セクターや市民セクターがかかわることを意味し、社会的諸関係を媒介し調整するメカニズムととらえられる。
     豊かな公共圏を形成するためには、地域格差・地方財政危機・社会的排除や摩擦といった地域の生活問題の解決が必要となる。その手段はローカル・ガバナンスの政策化と実践化にあり、その指標となるものとしては、社会サービス、地方分権と財政、企業福利、市民団体・社会教育などがあげられる。
     今後の福祉政策は、①幅広い階層の社会的・心理的ニーズに応えられる対人福祉サービスの促進、②地方自治体の分権化と財政的自立、③福祉サービス提供事業者の多元化など協働関係を確立すること、④予防的な施策の促進、⑤福祉問題に立ち向かう主体形成の推進による市民や住民の自律化が求められている。

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