心理学理論と心理的支援

閲覧数2,854
ダウンロード数41
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    『心理学理論と心理的支援』
    「人の成長・発達と心理との関係について述べなさい」

    資料の原本内容

    『心理学理論と心理的支援』
    「人の成長・発達と心理との関係について述べなさい」
     発達はdevelopmentの訳語である。心理学的には、心身の形態や機能の成長的変化を表していて、成長・成熟・進歩などの意味が含まれている。まとまり的な成長を示し、質的変化が安定して見られるものである。
     発達は、一定の規則・型に従って、一生を通して連続的に進行する変化の過程で、「発達の順序性」という発達の規則があり、一定の決まった順序で進行していく。精子と卵子の受精から死に至るまでの一生涯の「質的・量的な変化の過程」と定義できる。その進む速さは一定ではなく個人差がある。発達のスピード差が生まれる原因としては、遺伝的な個人差、性差、発達過程の環境などがある。発達には、ヴィンセントによる「発達の方向性」と「発達の連続性」いう概念がある。
     過度のストレスは発達に影響を及ぼす。その年齢期間に獲得しなければならないもの、あつまり後では獲得しにくいものがあるという臨界期がある。
     なお、成長は、生育に伴う変化を系列的・量的に増加する現象を示しており、成長と発達の意味は厳密には異なっている。
     発達は、順序性や連続性に従って起こる停止することのない一定の型・規則に基づく連続的な変化であり、幾つかのまとまりのある段階に分けることができる。その継続的な変化の仕組みと実際の状態について調査・研究するのが発達心理学と呼ばれる分野になる。
     発達段階には、各段階ごとに新しい特徴が見られ、発達課題としてみなされる。これは、発達段階説とよばれ、研究者によりいくつもの説がある。そのなかの主なものとして、ピアジェの発達段階説を以下に挙げる。
     ピアジェは、認知主義の立場から、個人の持つ認知的な枠組みシェーマを用いて、人間が外界と心理的にどのように相互作用し合うかを考え、発達に関して包括的な論理体系を作った。ピアジェの発達論は、内的世界と外的世界の相互的作用を中核として考えられている。発達は、内界と外界の同化と調節の作用による均衡化の過程として定義され、これを「均衡化説」という。
     発達段階には、①感覚運動期(0~2才)、②前操作期(2~7才)、③具体的操作期(7~11才)、④形式的操作期(11才以降)の4つに分けられる。
     ①感覚運動期においては、感覚と運動の機能によって外界と相互的に関わる。②前操作期では、直接目で見る対象だけでなく、過去に見た内容をイメージとして保持する表象や象徴を用いて外界と相互作用するようになるが、まだ表象の内容や影響を操作できない自己中心的で、自己と他者の境界線が曖昧で内界と外界が未分離な段階である。③具体的操作期になると、この表象をある程度自由に操作できるようになる。ただし、具体的な物質の助けを借りて表象を操作する。④形式的操作期では、抽象的な思考が発展して、論理的な考え方も出来るようになる。
     ピアジェの論の他には、ビューラーの生涯発達段階説明、エリクソンの8段階説、コールバーグの道徳発達段階、ハヴィガーストの発達課題、フロイトの発達論(リビドー発達論・心理性的発達論)などがある。
     それぞれの発達段階説において、各段階に発達する時期やスピードには大きな個人差があり何歳だからどの発達段階にあると一定の公式に当てはめて発達を考えることはできないということを念頭に置いておかねばならない。発達の各段階の間には、一定以上の移行期間があり、その移行期間の間には前段階の特徴を色濃く残していたり、後段階の特徴も同時に現している場合はよくあるのである。

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。