<別紙>
公的金融縮小下における地域金融市場の在り方
~第2地方銀行・信用金庫のパネルデータによる実証分析~
2011年12月
公的金融縮小下における地域金融市場の在り方
~貸出金利の地域間格差要因から~※
2011年12月
本文要旨
「官から民へ」という理念の下、公的金融による中小企業向け直接貸出は年々減少傾向で推移している。限られた公的金融の原資を有効に使うためには、使途の「質」に一層着目していく必要がある。言い換えれば、民間金融機関にテイクできないリスクに関し、「補完」の目的で政府が公的金融という形態で手助けしていく必要がある。この際に前提となるのが、完全競争の下、民間金融機関の経営が効率的に行われ、適切な貸出金利で融資を行い、情報生産能力を用い、積極的な融資を行えていることである。
我々は第2地銀、信用金庫の統廃合が進んだ、2006~2009年度の最新のデータを用いて中田・安達[2006]と同様の分析を行い、その推定結果を「比較」することで、その変化から金融機関の統廃合の影響が貸出金利にどう影響を与えたのかを検証した。
その検証の結果、“地域金融機関の合併”は、「規模の生産性」と「情報生産性」を向上させ、貸出金利の押し下げが期待でき、“他の地域への相互参入”は、競争による「経営効率」の向上、エリア拡大に伴う「情報生産能力」の向上により、同じく貸出金利の押し下げが期待できるという結論を導くことができた。
本稿の貢献として、今後原資が縮小していく状況下にある公的金融機関が“民間金融機関の「補完」に徹する”という目的を達成するための前提として、金融機関の徹底的な経営効率化が望ましく、その具体策として第2地銀や信用金庫といった、規模の小さい、規模の経済が働きにくい金融機関は、“合併”を進め、第1地銀、合併して誕生した新たな金融機関は、“他の地域への相互参入”により、競争を図っていく必要があると、地域金融市場における「合併」と「競争」のバランスについて提唱したことである。
【目次】
Ⅰ. はじめに 〇
Ⅱ. 貸出金利の地域間格差の現状 ○
Ⅲ. モデル説明
3-1節.マークアップ原理に基づく貸出金利決定式・・・・・・・・・・・・・○
3-2節. 地域貸出市場の競争環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・〇
Ⅳ. 推計結果
4-1節. 供給側要因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・○
4-2節. 需要側要因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・○
Ⅴ. 結論 ○