●はじめに
徳川綱吉といえば、「生類あわれみの令」という悪法を制定し、庶民を苦しめた愚かな為政者というのが一般的なイメージだろうと思う。確かに、「生類あわれみの令」それ自体はとんでもない悪法かもしれないが、本当に綱吉は暗君だったのだろうか。
このレポートでは、綱吉の治世のやり方が、それまでの将軍たちのそれとどう違っていたのかを検証し、そこから彼が何を考え、何をやろうとしていたのかを探ってみたい。
●綱吉の『武家諸法度』
江戸時代の武士社会における法律といえる、「武家諸法度」。
『徳川綱吉と武家諸法度』
●はじめに
徳川綱吉といえば、「生類あわれみの令」という悪法を制定し、庶民を苦しめた愚かな為政者というのが一般的なイメージだろうと思う。確かに、「生類あわれみの令」それ自体はとんでもない悪法かもしれないが、本当に綱吉は暗君だったのだろうか。
このレポートでは、綱吉の治世のやり方が、それまでの将軍たちのそれとどう違っていたのかを検証し、そこから彼が何を考え、何をやろうとしていたのかを探ってみたい。
●綱吉の『武家諸法度』
江戸時代の武士社会における法律といえる、「武家諸法度」。制定されたのは1615年、二代将軍徳川秀忠の時代である。ここで、後の比較対象とするべ...