1.はじめに
関西国際空港の対岸に広がる「りんくうタウン」。華やかな夢物語として計画されたこの街であるが、現在この街を語る場合には概して否定的な文脈で語られる。遅々として進まない用地の分譲は計画主体の大阪府や地元の泉佐野市の財政を圧迫してきた。今回のレポートでは、どのようなコンセプトでりんくうタウンが計画されたのか、そしていかにして企業の立地が進んできたのか、また現在のりんくうタウンの状況を明らかにしていきたい。
2.りんくうタウン計画の概要
まず、りんくうタウン計画を考える際には関西国際空港の存在を抜きにしては不可能である。関西国際空港の建設が泉州沖に決まり、大阪府は空港機能の支援・補完と地元地域の振興を図ることを目的として空港対岸を埋め立てることによる新しいまちづくりを計画した。さらに国際空港に直近する街であることから、臨空都市圏の核となる自立した国際都市としてのまちづくりの基本方針が立てられた。
具体的な整備計画の内容は、りんくうタウンを商業業務ゾーンや流通・製造・加工ゾーン、空港関連産業ゾーンなどに区分し、それぞれのゾーンの性格に応じた企業を誘致するというものであった。りん...