労働協約における不利益変更
判例あり。
労働協約とは労働組合と使用者(または使用者団体)との間における、労働条件についての書面による集団的合意を労働協約といい、労働組合のメンバーである労働者(労働組合員)の労働契約内容を決定・変更する働きを認められている。
従って、労働協約の定める労働条件基準に反する労働契約の部分は無効になり、無効となった部分はその基準の定めるところによるとされている。また、協約の当事者である労働組合の組合員以外の労働者の労働条件を決定・変更できる独特な法的効力も認められている。
不利益変更において、就業規則が大きく関与している。就業規則は集団的労働条件に関与し、労働契約当事者間における合意によって形成される近代法の大原則であるものの、就業規則の法的性質の問題が存在するため、2つの見解が議論されていた。1つは就業規則自体が法規範としての効力を認める見解、もう1つは、就業規則は労働者と使用者の合意を媒介にして労働契約の内容とする見解が存在していた。ところが、最高裁は、秋北バス事件(昭和43年12月)において、これらの見解を覆す独自の見解を示し、論争に終止符を打った。これは、一方的な不利益変更は原則として許...