障害者の自立と所得保障

閲覧数2,271
ダウンロード数16
履歴確認

    • ページ数 : 5ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    1障害者にとって「自立」とは
    障害者は、人間として生物・精神・社会的存在の3つの側面をもつ。身体・精神的な面で平均値より低い方の差異を有する人間が「障害者」と呼ばれる。この差異は、現代社会という側面から規定を受けるのであり、社会的存在として障害者が登場する。社会的に存在するための条件=生物的・精神的な存在としての人間を可能にするものは、資本主義社会に適応することである。この社会適応という相対的価値判断をもって自立とするのか、絶対的価値としての自己実現をもって自立とするのかが問われる。

    2現代社会における障害者の存在形態と所得保障
      A所得保障の前提としての賃労働
    賃労働が機能しない場合として、失業、低賃金、過酷な労働条件を挙げることができるが、これらに対応すべき所得保障を社会保障制度の中に位置づけると、その前提条件は、完全雇用と最低賃金制度である。最低賃金制度は、それ自体が不十分なうえに、障害を理由として除外する規定があり、社会的障害になる。最低賃金制度の改善充実は、社会保険の給付水準や生活保護基準への改善と構造的に結びついているが、社会保険の受給資格そのものが雇用に基づいていることを忘れてはならない。しかし、障害労働力は非障害労働力に比して、購入されにくいだけでなく経済状況や年齢の影響も受けやすい。よって、非障害者と同等以上の能力を有する障害者のみが国家的社会保障の直接の対象となり得る。

    B生活問題への拡大と所得保障
     労働問題から派生する生活問題と所得保障との関係を捉えるため、障害者とその家族の世帯構成を分析する。すると、産業構造の変化からの放出、世帯構成員の多いこと、にもかかわらず進行する核家族化、独身障害者の多いことなど、いずれも家族内にあって被扶養者となる要因が挙げられる。その結果、身障者世帯は非課税世帯、被保護世帯が一般世帯と比べ非常に多い。よって、被扶養的存在となる可能性が高く、他の家族の賃金・扶養能力の水準が生活問題への拡大を左右する。そのために、所得保障の必然性とあり方が問われるのである。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    障害者の自立と所得保障
    障害者が所得保障の対象になるのはなぜか? ⇔ 障害者にとって自立とはなにか?
    1障害者にとって「自立」とは
    障害者は、人間として生物・精神・社会的存在の3つの側面をもつ。身体・精神的な面で平均値より低い方の差異を有する人間が「障害者」と呼ばれる。この差異は、現代社会という側面から規定を受けるのであり、社会的存在として障害者が登場する。社会的に存在するための条件=生物的・精神的な存在としての人間を可能にするものは、資本主義社会に適応することである。この社会適応という相対的価値判断をもって自立とするのか、絶対的価値としての自己実現をもって自立とするのかが問われる。
    2現代社会における障害者の存在形態と所得保障
      A所得保障の前提としての賃労働
    賃労働が機能しない場合として、失業、低賃金、過酷な労働条件を挙げることができるが、これらに対応すべき所得保障を社会保障制度の中に位置づけると、その前提条件は、完全雇用と最低賃金制度である。最低賃金制度は、それ自体が不十分なうえに、障害を理由として除外する規定があり、社会的障害になる。最低賃金制度の改善充実は、社会保険の給付水...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。