我が国の障害者福祉の歴史をさかのぼってみると、障害者は健常者と区別され、普通の社会から排除されてきた。第二次世界大戦後も福祉施策は、このような先入観にとらわれ、障害者を特別扱いし、施設入所が処遇の中心であった。実際、医学、心理学や福祉の専門職者にとっては、当事者が施設入所基準に適合するかどうかを判定することが主たる機能であった。そこには、障害者と健常者が生活や教育を共にすることの非効率性を根拠とする認識があったためである。むしろ、障害者に対して手厚く、また温かく処遇するためには施設に入所することが最善であり、また能率的な方法であるというのも、もう一つの社会的・合理的認識であった。つまり、生産性を優先させる社会にあっては、障害者よりも健常者が、高齢者よりも若年層の労働人口が選択され、労働不能の重度障害者は施設に収容して保護することが求められるのである。
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「障害者福祉の理念について述べよ。」
我が国の障害者福祉の歴史をさかのぼってみると、障害者は健常者と区別され、普通の社会から排除されてきた。第二次世界大戦後も福祉施策は、このような先入観にとらわれ、障害者を特別扱いし、施設入所が処遇の中心であった。実際、医学、心理学や福祉の専門職者にとっては、当事者が施設入所基準に適合するかどうかを判定することが主たる機能であった。そこには、障害者と健常者が生活や教育を共にすることの非効率性を根拠とする認識があったためである。むしろ、障害者に対して手厚く、また温かく処遇するためには施設に入所することが最善であり、また能率的な方法であるというのも、もう一つの社会的・合理的認識であった。つまり、生産性を優先させる社会にあっては、障害者よりも健常者が、高齢者よりも若年層の労働人口が選択され、労働不能の重度障害者は施設に収容して保護することが求められるのである。こうした合理性は、社会通念として普遍的に存在する。このような一見、“善意”と思われる行動が、実は排除の思想にその根本があるのである。
ノーマライゼーションとは、障害を持つ人達の人権を尊重し、障...