単元Ⅲ「経営戦略と企業づくり」
■テーマ
『貴社のマーケティング戦略にとって大事な点は
何か、貴社の経営指針(経営理念・経営方針・経営計画)に
触れて、あなたの考えをまとめて下さい』
1,
はじめに
「マーケティング戦略」
、さまざまなメディアを通じて良く耳にする言葉であるが、自分
自身その言葉の持つ意味を深く考えたことが無い。今自分が勤めている会社は建設業を営
んでおり、その売り上げは「官公庁が発注する工事を競争入札で受注し工事を施工する」
公共工事が大多数を占める。エンドユーザーから直接工事を受注する場合もあるが、我が
社の売上げに占める割合は多くない。また、自分の仕事は受注した工事の施工管理、いわ
ゆる現場監督であるため、受注に関する営業的な仕事には深く関わってはこなかった。し
かしながら、現在の建設業を取り巻く環境は厳しく、公共工事は削減の一途をたどり、経
済の冷え込みから企業の設備投資も抑えられ、受注競争の厳しさから工事価格の下落が止
まらない状況である。今、現場監督の自分が出来ることは、今後も公共工事に依存するの
ではなく、エンドユーザーからの受注比率を高めていくために、マーケティング戦略につ
いて考え行動していくことであろう。そこで我が社の経営指針である「経営ビジョン」に
照らして考えてみる。
2,
「マーケティング」と「戦略」
マーケティング戦略にとって大事な点を考える前に、マーケティング戦略の意味につい
て触れてみようと思う。
まず「マーケティング」の持つ意味。日本マーケティング協会の1990年の定義によ
ると「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相
互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。」(注1)と
なっている。我が社の立場で解釈すると、「会社は様々な知識と技術力を持って顧客により
良い製品を提供することにより、報酬や信頼といった対価を得るためのすべての活動。」で
あると考えられる。
次に「戦略」。大辞泉によると、「組織などを運営していくについて、将来を見通しての
方策。」(注2)とある。よって「マーケティング戦略」を要約すると、企業を運営していく上
で必要な長期的な方策と考えることができる。
3,
「経営ビジョン」
我が社は2004年に、品質マネジメントシステム規格である ISO9001 の認証を取得し
た。その際、ISO9001 の規格要求事項にある品質方針を設定するにあたり、我が社の社長
が「経営ビジョン」という言葉で品質方針を設定した。その言葉の意味は文字通り、会社
経営における将来の構想である。これは前項で述べたマーケティング戦略の要約と合致す
る。我が社の社長が「経営ビジョン」の設定にあたり、マーケティング戦略というキーワ
ードを念頭に置いて設定したかどうかは定かでないが、会社の将来を見据えた思いが込め
られているのは間違いない。
我が社の「経営ビジョン」は4項からなっているがここで全文を記述する。
1. 品質によって顧客・エンドユーザーに選ばれる企業となるために、法令・規格を守るこ
とはもちろんの事、顧客のニーズを汲みあげ自社品質の継続的改善を図る。
2. 売上げよりも付加価値を重視し、より高い付加価値を生み出せる組織であるために、経
営方針を設定し、マネジメントレビューを実施し、その達成を図る。
3. 社員一人一人が経営ビジョンを理解したうえで、仕事を通じ努力を怠らず日々学び、活
動し成長していける企業風土を作る。
4. 地域社会に密着したニーズをとらえ、資源の使用が出来る事を確実にし、地域にとって
なくてはならない企業を目指す。
4,
自身が考える4つの思い
最後に「経営ビジョン」に照らして自分自身が考えることを述べたいと思う。
まず 1 つめに「顧客の要求(NEEDS や WANTS)を十分に理解し、その要求を満足させ
るためにPDCAのサイクルを回して品質の向上を図る」という事。当たり前ではあるが、
個人の集合体である会社全体で考えたときこれは中々難しい。個人にはそれぞれ能力差が
あるので、それをいかに平均化し全体的なレベルの底上げを図るかが重要である。
2 つ目に「付加価値を大切にする」という事。ここで言う付加価値には 2 つの側面がある
と考えている。顧客に関するものと自分自身に関してである。顧客の側面で考えると、製
品を受け取った時に支払った金銭価値以上に満足感を得ることが出来れば、それが付加価
値と言える。また自分自身で考えると、製品を提供した時、若しくは製造の過程で新たな
学習をして達成感を得ることが出来れば、それが一種の付加価値であろう。顧客と会社双
方にメリットがある WINWIN の関係を築いていく事が重要である。
3 つ目として「自己研鑽に努める」という事。自分自身が社会人となって 20 年程経つが、
振り返ってみると日々の仕事に没頭し、現状に満足していたことは否めない。しかし、こ
こ半年の間に同友会大学をはじめとして外部の講習や研修に参加する機会が増えたことで
学習意欲が湧いてきた。外の空気を触れることで、今までとは違う目線で物事を考えるこ
とが出来る。現状に満足せず学習意欲を持って活動していくことが重要である。
4 つ目は「地域に密着した会社」という事。これは我が社が以前からそうであったように、
今後もそうあり続けるべきと考える。我が社は札幌に本社を置き道央圏を中心に営業して
いるが、工事を施工する際にエリアが広がると金銭的な負担が増えフォローアップもまま
ならない。またアフターサービスの際も時間が掛かり対応の遅れが課題となる。金銭的な
アドバンテージを排除し、迅速な対応が出来る会社として営業していくことが重要である。
以上の 4 つの思いを念頭に置き活動していくことが、今後も会社が存続し発展していく
ために必要な事だと考えている。
引用
(注1)
公益社団法人 日本マーケティング協会
(http://jma2-jp.org/wiki/index.php?%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%8
6%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0 2012/4/11)
(注2)
YAHOO JAPAN 辞書
(http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&stype=0&dtype=0&p=%E6%88%A6%E7%9
5%A5&oq=&dname=0na 2012/4/11 )