肝癌
■病態
(1)原発性肝癌
①肝細胞癌
・原発性肝癌の90%(原因はC型肝炎が多く、次いでB型肝炎)
・肝外転移は少ないが、肝内転移は高率
②胆管細胞癌
・胆管上皮細胞から発生
・原発性肝癌の10%
(2)転移性肝癌
・大腸癌、膵癌、胆道癌、胃癌などからの転移が多い
・予後は極めて不良
■症状
・自覚症状はほとんどない
・進行すると、腹部腫瘤、右下肋部痛、黄疸を伴う
○肝細胞癌
■検査・診断
(1)超音波検査
・モザイクパターン、腫瘍辺縁の低エコー帯が特徴
(2)造影CT検査
・肝細胞癌は動脈相で高濃度、門脈相で低濃度
(3)腫瘍マーカー
・αフェトプロテイン(AFP)、ビタミンK欠乏タンパク-Ⅱ(PIVKA-Ⅱ)、AFP-L3分画
の上昇が見られる
(4)肝機能検査
・白血球数、血小板数減少
・AST、ALT上昇
・LDH、ALP上昇
・血清ビリルビン上昇
・血清アルブミン低下
・プロトロンビン値低下 など
■治療
(1)肝切除術
・癌結節を含む肝臓の切除
・肝予備能がよく保たれた患者に対して行う
・腫瘍の大きさ、存在部位、肝予備能に応じて、肝葉切除、肝区域切除、肝部分切除
が選択される
(2)局所療法
①経皮的エタノール注入療法(PEIT)
・超音波ガイド下に無水エタノールを腫瘍内に注入し、病巣を凝固、壊死させる方
法
②マイクロ波凝固療法(MCT)
・マイクロ波電極を腫瘍に刺入し、マイクロ波を照射し腫瘍を凝固壊死させる方法
③ラジオ波焼灼療法(RFA)
・ラジオ波電極を腫瘍に刺入し、ラジオ波を照射し腫瘍を壊死させる方法
④肝動脈化学塞栓術(TACE)
・局所療法や切除術は不可能な場合、他の治療法と併用して行う
⑤肝移植
・肝予備能がなく、ミラノ基準(腫瘍径5㎝以下単発、3㎝以下3病巣以内)に適合す
るものに行う
肺癌
1.原発性肺癌
・日本人の悪性腫瘍による死因の第1位
・60歳以上に好発で、男女比3:1で男性が多い
■原因
・癌遺伝、癌抑制遺伝子の変異と細胞の変化の蓄積によって生じると考えられる
・主な発癌要因は、喫煙、大気汚染、職業因子(石綿、クロムなど)
・扁平上皮癌、小細胞癌では喫煙の影響が大きい
■組織型比較
非小細胞癌
小細胞癌
扁平上皮癌
腺癌
大細胞癌
頻度
約35%
約45%
約5%
約15%
性別
男性
男性・女性
男性
男性
喫煙との関係
強い
ある
ある
強い
好発部位
肺門・肺野
肺野
肺野
肺門・肺野
臨床症状
咳漱、血痰
無症状、胸痛
胸痛
咳漱、血痰
画像所見
・空洞形成
・無気肺
・胸膜嵌入像
・血管集束像
ノッチサイン(境界明瞭な凸凹)
リンパ節腫大
腫瘍マーカー
SCC上昇
CYFRA(シフラ)上昇
CEA上昇
CEA上昇
NSE上昇
Pro-GRP上昇
治療
手術
手術
手術
・化学療法
・手術
転移
少
中
中から大
...