中等社会科の成立と変遷
「社会科」という教科が日本において新設され,実施されたのは1947年9月である。人と他の人との関係,人間と自然環境との関係,個人と社会制度や施設との関係の相互関係を重視し,人間性の自覚,個人の尊厳の認識を前提とした。青少年の生活における具体的な問題を取り上げて,その解決を目指して学習していく総合的な教科として誕生した。小学校から始まる総合的な学習は,中学校の全学年と高等学校の第1学年でも継続して行われるものとし,「一般社会科」と称した。
中等社会科のカリキュラムについては,3つの視点からとらえられる。「一般社会科」を原型とし,地理・歴史・政治・経済等に分けない社会問題の多角的学習によって進められる融合社会科カリキュラム,「分野社会科」を原型とする,地理・歴史・政治・経済等の系統的学習によって進められる統合社会科カリキュラム,その二つを統合した総合社会科カリキュラムである。
カリキュラムの変遷を概観するとき,1947~1977年版までが,「中等社会科」時代のカリキュラムで,1989年~現在までが「中学校社会科」と「高等学校」地理歴史科・公民科」との並立時代の...