「映画と小説、戯曲との関わりについて論じなさい。」
映画は19世紀に生まれ、20世紀に大きな発展を遂げた新しい芸術である。絵画、彫刻、文学、音楽、演劇、舞踊など、映画が誕生する以前にすでに長い歴史をもっていた芸術は、その多くが個人によって創られてきた。しかし映画は、カメラ、フィルム、撮影、現像、編集、録音といったような、科学技術的な機材や資材を用いなければ創れない芸術なのである。
映画につながる技術は19世紀前半に完成された写真技術を、現実の運動の記録と再現に応用しようとしたものである。1893年、アメリカのエジソンが「キネトスコープ」を一般公開した。そして、フランスのリュミエール兄弟が「シネマトグラフ」という、現在のカメラや映写機と基本的な機構がほぼ同じ複合機を開発し公開した。
エジソンが開発した「キネトスコープ」は、ひとりの人が箱を覗き込むと、その中に動画をみることができるというものである。そして、リュミエール兄弟が開発した「シネマトグラフ」は、その仕組みを箱から、スクリーンへと投射するものへと改良し、一度により多くの人が動画を観賞することができるようにしたものである。動く映像がス...