「豚のPちゃんと32人の小学生」に対する考察。
家畜とペットの領域。命の教育とはなにかについて。
「豚のPちゃんと32人の小学生」に対する考察
黒田先生の行った実践は正しかったのか。この問いに答えるのは容易ではない。黒田先生自身も、あの授業が成功だったのか失敗だったのかは今でもわからないそうだ。
僕はこの授業は最初から失敗していたと思う。最初に大学の講義でビデオを見終わったときは「この実践はものすごく有意義で、賛否両論あるかもしれないが、人々に命とは何か、教育とは何かを考えさせるきっかけを多くつくったに違いないはずだ」と思った。今でもそう思ってはいるが、ずっと何かひっかかっていた。今回レポートを書くに当たって、改めて黒田先生の本を読み、そのひっかかる部分を解き明かそうと思った。
ではなぜこの授業が失敗だったと思うのかを述べたい。第一に、黒田先生は「豚を食べる」という前提を「子供たちに説明して」飼いはじめていなかった。飼育係で何を飼うかという話し合いの時に、「豚を飼いたいです」と発言した黒田先生は「食べるために」という説明をそのときにするべきだったと思う。当然のように、やって来た豚は子供たちによってPちゃんという名前をつけられ、ペットとして可愛がられる。この時点で「食べる」という選択...