過去、朝鮮半島からは、日本の植民地支配の影響下、多くの朝鮮人が日本に渡ってきた。そして彼らは日本で生活するために地域コミュニティを作り、学校を建て、社会運動を起こし、権利を獲得してきた。このような経緯を経て日本で自らの社会を築いた朝鮮人、またはその子孫は現在日本に約60万人以上おり、世代は4~5世まで幅を広めている。そして、彼ら在日朝鮮人の社会は、日本社会の中で様々な非難を受けており、その非難は度々社会問題や事件として浮上する。例えば現在、朝鮮学校無償化除外問題 として日本社会と在日朝鮮人社会は対立し、それに関連する朝鮮学校側の無償化除外反対デモや、朝鮮学校への暴力的な襲撃による逮捕者の出る事件 も起こっている。
この現状を受け止め在日朝鮮人自身さえも植民地主義や自らの劣等感にさいなまれており、結果、非難の受けることのない「日本人」になるために「帰化」の選択をする人が増えてきた。年約1万人ペースの帰化が今後も続くとなれば在日朝鮮人社会は弱体化し、やがて消滅すると推測する。このような現象は朝鮮人が朝鮮人として生きることが困難であるため発生したものである。本論文は、このような在日朝鮮人の帰化を、日本社会における朝鮮人消滅に警鐘を鳴らすために焦点を当て、在日朝鮮人帰化問題の解決策を提案するものである。
目次
序章 在日朝鮮人帰化問題に関する考察の目的と展開 1
目的 1
展開 1
第1章 在日朝鮮人とは 2
第1節 発生の起源 2
第2節 定住にいたる経緯 3
第2章 在日朝鮮人問題 5
第1節 朝鮮植民地時代の在日朝鮮人労働問題 5
第2節 法制度的問題 6
第3節 差別意識問題 7
第3章 在日朝鮮人帰化問題 9
第1節 在日朝鮮人帰化の性質と実態 9
第1項 性質 9
第2項 実態 9
第3項 法規定 10
第2節 帰化選択の具体的理由 11
第1項 自らのアイデンティティに不便、不満、劣等感を抱く在日朝鮮人 11
第2項 同化政策 12
第3節 帰化がもたらす在日朝鮮人社会消滅の危険性 12
第4章 朝鮮人問題の原因と背景 14
第1節 北朝鮮バッシング 14
第2節 軍事大国化の推進 14
第3節 新自由主義思想 16
第5章 帰化問題の解決策 18
第1節 権利獲得運動 18
第2節 民族教育と朝鮮学校の重要性 18
参考文献
参考URL 20
図表目次
第1表 朝鮮人人口・・...