手形小切手法論文答案練習 手形行為総論
~手形偽造 被偽造者の表見責任~
【問題】
Zは、権限なくYの署名を偽造してXに対して約束手形を振り出した。XはYに対して手形金の支払を請求できるか。
【考え方】
・・・署名の代行権のない者が他人の署名を偽り、その他人あたかも手形行為をしたような外観を作り出すことを偽造という。この場合、被偽造者は、自ら手形に署名したのではなく、他人に署名の代行権も与えていないのであるから、原則として、手形上の責任を負わない。手形法7条も、名義人に「義務を負わしむること能はざる署名」として、偽造による署名を挙げている。
・・・手形行為は代理方式でなされたが、無権代理となる場合、表見代理の規定により、本人は手形上の責任を負い、手形取引の安全が図られている。偽造の場合、明文の規定はないが、一定の場合には、手形取引の安全のため、偽造者の表見責任を認める必要がある。
→ 被偽造者の表見責任をどのように法律構成するか。
(見解)
1)表見代理規定の類推適用説
・・・無権限者が機関方式(代行方式)で手形を振り出した場合、第三者に無権限者が本人名義での手形振出の権限を有す...