頭蓋内圧亢進症状の程度と原因(脳・神経 P82)
頭蓋内圧亢進の病態生理
頭蓋内圧亢進を理解するにあたって、まず、脳がかたい頭蓋骨でしっかりと保護されていて、脳その他の組織、血液、脳脊髄液を合わせた頭蓋内容の総容量が一定だということを念頭においておく必要がある。
脳は頭蓋骨の中で、液体(脳脊髄液)に‘つかった’状態でおさめられている。そのような状況において、脳内に、たとえば脳内血腫が生じたとする。初期の頭蓋内圧亢進に対しては代償機構(血圧上昇・徐脈など)がはたらくが、血腫が増大していくと、頭蓋腔の容積は変わらないので、頭蓋骨の中で脳が強く圧迫されて、極度に緊満した状態になってしまうことは、容易に想像ができるであろう。このような状態が頭蓋内圧亢進状態である。
頭蓋内圧亢進状態は早期に把握し、迅速に対処することがきわめて重要である。なお、頭蓋内圧は、成人では通常70~180mmH2O前後である(水平側臥位で測定した脳脊髄液圧)
頭蓋内圧亢進でみられる症状
頭蓋内圧亢進の三徴
①頭痛 持続的であるが、頭蓋内圧は夜間から朝にかけて高くなるので、夜間と朝起床時に頭痛が増強することが多い。進行性であることも多い。
②嘔吐 食事と無関係におこり、内容物を噴出するように嘔吐する。嘔吐の後では頭痛が軽減することもある。吐き気・嘔吐は、頭蓋内圧亢進によって第四脳室底の迷走神経核が刺激されるためと考えられている。
③うっ血乳頭 眼底検査でみとめられる症状で、網膜の視神経乳頭がはれぼったく隆起して、辺縁との境界が不鮮明になる。進行すると視神経萎縮にいたり、不可逆的な視力障害をきたす。