【教育原理】
●素質と環境について述べよ。
我々の具体的な人格や行動は先天的な親譲りの素質と後天的な自然的社会的文化的環境とが関連し合い、それらに影響される形で子どもの生活が行われている。この生活が、習慣、習性、態度として子どもの中に積み重ねられ、これが人格を形成する重要な要因となる。素質とは天性で受け継がれて生まれつき持っているものである。この遺伝を発達において重視する立場では、遺伝的に予め決められている成熟プログラムが成熟とともに一定の順序で行動特徴として現われてくるという考え方をとっているものを遺伝論という。子どもの人格を理解しながら行動を指導していくためは、取り巻く環境や家庭、近隣、地域社会などの構造や、そこで行われている社会型式や文化型式などを十分に認識したうえで行うことが必要なのである。幼少時においては特に環境のままに影響されて行動し、生活していく。つまり、環境-素質の関係は、原因-結果とも言われるほどに重要なものである。環境の影響に基づき、受動的に反応し、進んで知性や技術で働きかけ、あるがままの姿から、より良い、望ましいものへ改善しようとする。今日の日本の文化や社会はこ...