職業としての弁護士の特色は、単に高度の法的専門職であると言うだけではない。その特色は、国と一定の対抗関係に立ちつつ、依頼者の人権と法的利益を擁護することにある。このような弁護士の職業が有効に機能するためには、依頼者との信頼関係の形成が不可欠であり、その信頼の基盤となるのは、弁護士が依頼者の秘密を守る権利を有し義務を負うところにあると考える。依頼者には通常人としての事実関係を認識する能力は期待できるが、法律関係の理解までは求めることができない。
弁護士が依頼者の秘密を保持する義務を負うことによって社会はどのような利益を享受し得るか?
職業としての弁護士の特色は、単に高度の法的専門職であると言うだけではない。その特色は、国と一定の対抗関係に立ちつつ、依頼者の人権と法的利益を擁護することにある。このような弁護士の職業が有効に機能するためには、依頼者との信頼関係の形成が不可欠であり、その信頼の基盤となるのは、弁護士が依頼者の秘密を守る権利を有し義務を負うところにあると考える。依頼者には通常人としての事実関係を認識する能力は期待できるが、法律関係の理解までは求めることができない。従って依頼者が法の上に自らの権利主張を行う場合には、相手方が弁...