学部ゼミでまとめたバランスト・スコアカードのパワーポイント資料です。
5分ほどで読めて簡単にその考え方がわかります。
戦略遂行の考え方
バランスト・スコアカード(BSC)
バランスト・スコアカードとは?
1992年にキャプランとノートンが紹介
バランスト・スコアカードの主な役割
「戦略志向の組織」をつくり、戦略を遂行する。
ロバート・S・キャプラン氏
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バランスト・スコアカードによる戦略遂行の要点
組織全体のベクトルを戦略に向かわせる。
戦略を誰にでも理解できるよう具体化する。
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バランスト・スコアカードの構造
戦略目標
重要成功要因(CSF)
重要業績評価指標(KPI)
目標値
アクションプラン
最終的な目標
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多面的な視点
視点ごとの掘り下げ方
財務
顧客
業務
プロセス
学習と
成長
バランスト・スコアカードの構造
戦略目標
重要成功要因(CSF)
重要業績評価指標(KPI)
目標値
アクションプラン
最終的な目標
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多面的な視点
視点ごとの掘り下げ方
財務
顧客
業務
プロセス
学習と
成長
バランスト・スコアカードの構造
戦略目標
重要成功要因(CSF)
重要業績評価指標(KPI)
目標値
アクションプラン
最終的な目標
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多面的な視点
視点ごとの掘り下げ方
財務
顧客
業務
プロセス
学習と
成長
4つの視点による戦略ストーリー
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財務
顧客
業務
プロセス
学習と
成長
資金調達ができるよう、
財務業績の向上を目指す。
モービルのガソリンスタンド事業の例
使用総資本利益率12%
生産性向上
収益増加
ディーラーとの
相互満足
消費者への
満足提供
非ガソリン
製品開発
顧客との接点改善
卓越した石油精製
社会の
良き隣人
モチベーションが高く、
能力の備わった労働力の確保
顧客に支持されるよう、
どれだけの価値を提案できるか
株主満足や顧客への価値提案
のために、どの業務プロセス
において優れているべきか
業務プロセスを構築・改善する
従業員の能力を開発・維持する
各視点を日常業務レベルまで落とし込む
戦略目標
重要成功要因(CSF)
重要業績評価指標(KPI)
目標値
アクションプラン
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財務
顧客
業務
プロセス
学習と成長
モービルのガソリンスタンド事業の例
顧客との接点改善
顧客セグメントの理解
ターゲット市場のシェア
顧客との接点改善
戦略目標を達成するために
重要な要因を見出す。
戦略の達成度を測定・評価する上で、
特に重要な指標を見出す。
指標の目標値を満たすために必要な
具体的行動を見出す。
バランスト・スコアカードの限界
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設計の正しさは実行するまで分からない。
戦略遂行のストーリー精確さ
視点の網羅性とつながり
戦略目標からアクションプランまでの因果関係
分かりやすさを追求した結果の単純性
多大な労力を必要とする。
熟練したコンサルタントが必要
トップマネジメントと現場のすり合せ
ご清聴ありがとうございました
非営利組織への応用
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バランスト・スコアカードの構造
最終的な目標
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財務
顧客
業務
プロセス
学習と
成長
これから、バランスト・スコアカードにおいて戦略遂行をどのようにとらえるのか発表します。
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そもそもバランスト・スコアカードとは、92年にキャプランとノートンが紹介した、非財務的指標を取り入れた新しい業績評価システムです。
しかし現在は、「戦略志向の組織」をつくり、経営戦略を遂行するマネジメント・システムとしての役割が特に期待されており、ここに焦点を当てて話を展開します。
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まず先に今回の発表の結論として、バランスト・スコアカードによって戦略を遂行する際に大事なことを2点説明します。
1つ目は、組織の資源や活動のベクトルを戦略に向けて整合性のとれる形で調整することです。
そして2つ目は、組織の末端や現場の誰にでも理解できるよう、戦略を具体的なアクションプランにまで落とし込むことです。
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バランスト・スコアカードの構造はこのようになっています。
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まず、財務の視点だけでなく非財務的な視点も組み合わせて、多面的な視点から全体を俯瞰し、組織のベクトルを集中させて戦略遂行の道筋を探ります。
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次に、それぞれの視点ごとに掲げた目標を業績評価指標に落とし込み、それを達成するための具体的なアクションプランまで掘り下げます。
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では、主に使われる4つの視点の流れについて、モービルという会社のガソリンスタンド事業の例を交えながらみていきます。
そもそも企業は資金が無いと存続できないため、財務体質を良くしたり、株主などの資金提供者への価値を高めたりするため、財務業績を向上させる必要があります。モービルの場合「使用総資本利益率を12%にアップ」することを目標に、そのために「収益の増加」と「生産性の向上」を目指しています。これが「財務の視点」です。
その財務業績を向上するためには、顧客に支持されていることが不可欠です。顧客に対しどれだけの価値提案ができるかを探るのが、「顧客の視点」です。モービルでは収益増大のために「消費者への満足を提供」し、生産性向上のために「ディーラーとWin-Winの関係を築く」ことを掲げています。
3つ目の視点は、株主や顧客を満足させる価値提案のために、どの業務プロセスにおいて優れているべきかを探る「業務プロセスの視点」です。モービルでは、例えばドーナツなどの「ガソリン以外の製品開発」や「顧客との接点の改善」、「卓越した石油精製オペレーション」、常に環境や安全に配慮し「社会の良き隣人となる」ことを挙げています。
その業務プロセスを構築したり、改善したりするのは従業員です。すべての土台である、従業員の能力の開発と維持の方法を探るのが、4つ目の視点「学習と成長の視点」です。モービルでは、「モチベーションが高く、能力の備わった労働力の確保」を目標に掲げています。
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多面的な視点によって戦略遂行のおおまかなストーリーを描いたら、今度は戦略が誰にでも理解できるようにする必要があります。
それぞれの視点を日常業務のレベルまで具体的に落とし込むのです。
まずは戦略実現のための目標を設定します。モービルの例の業務プロセスの視点のうち、「顧客との接点を改善する」ことが戦略目標のひとつに挙げられます。
戦略目標を設定したら、達成のための重要成功要因を考えます。顧客との接点を改善するための重要成功要因としては、「顧客セグメントを理解する」ことが挙げられます。
今度は重要成功要因を把握した上で戦略目標の達成度を把握する必要があります。モービルの顧客との接点を改善するという戦略目標の場合、重要業績評価指標は「ターゲット市場のシェア」に設定されました。同時に、指標の目標値も設定する必要があります。
モービルの例を見つけ出すことはできませんでしたが、最後に、指標の目標値を満たすために必要な具体的行動を「アクションプラン」として設定します。
こうして現場の従業員がそのアクションプランを指針に行動し、戦略遂行を担うようにバランスト・スコアカードが設計されるのです。
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ここまで、バランスト・スコアカードによる戦略遂行の方法について説明してきましたが、
バランスト・スコアカードは必ずしも万能なフレームワークではありません。
理由は大きく2つあります。
一つ目は、設計したバランスト・スコアカードの正しさは実行してみるまで分からないからです。
設定した視点間や戦略目標からアクションプランまでの間に、絶対的な因果関係があるとは言い切れず、
また、コミュニケーションツールとして、戦略遂行の道筋を単純化して設計するため、企業活動のすべての事象を網羅してはいないのです。
万能とは言えない二つ目の理由は、バランスト・スコアカードの導入に多大な労力が必要になるからです。
バランスト・スコアカードはいわゆる上級者向けのツールであるため、熟練したコンサルタントと共に、経営者がミドルマネジメントや現場の実態を調査しながら設計する必要があります。短時間でつくれるものではなく、組織が未熟であったり、従来の管理会計の基本的なシステムが整備されてない状態で導入をしても効果はあまり期待できないのです。
しかしバランスト・スコアカードは、戦略の遂行を複眼的にとらえ、組織が一丸となって戦略に集中しようとするきっかけを与えるという意味で、大きな意義があると思います。大事なのはこの考え方であり、経営者はバランスト・スコアカードの機能を取り入れる努力を続けていくべきだと私は考えています。
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バランスト・スコアカードの構造はこのようになっています。
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