神奈川県の面積を求めたい。発想が異なる4種類の方法で面積を求め、実際の神奈川県の面積と比較検討せよ。
10cm×10cmの紙(A)、縮尺100万分の1の神奈川県の地図(B)、すべて同じ大きさのおはじきを大量に用意する。まず、Aの紙の上いっぱいと、Bの地図の神奈川県の部分だけにおはじきを敷き詰める。おはじきの数を数えたら、Aが48個、Bが11個であった。Aの紙をBと同じ縮尺の地図と考えると、正方形Aの面積は100km×100km=10000㎢となる。このことから、比でBの面積を求める。神奈川県の面積をxとおくと、
よって、神奈川県の面積は約2292である。
10cm×10cmの厚紙(A)と、縮尺100万分の1の神奈川県の地図を用意する。地図はAと同じ厚さの紙に写し取り、はさみで神奈川県の形に切り抜く(B)。AとBの厚紙の重さをデジタルスケールで測ると、Aは2.33g、Bは0.58gであった。Aの厚紙をBと同じ縮尺の地図と考えると、正方形Aの面積は100km×100km=10000㎢となる。このことから、比でBの面積を求める。神奈川県の面積をxとおくと、
よって、神奈川県の面積は約2489㎢である。
神奈川県の地図をトレーシングペーパーに写し取り、方眼紙と重ね合わせる。下の図では、縮尺に合わせて1目盛を5km×5kmとした。神奈川県を大まかに直線的な図形として考える。ここでは台形に置き換えた。
1目盛の長さが5kmなので、台形の面積の公式に従って、式は下のようになる。
よって、神奈川県の面積は約2400㎢である。
1目盛の面積は5km×5km=25㎢である。1目盛の中が完全に埋まっている部分を25㎢、目盛の一部にかかっている部分を半分の12.5㎢として計算する。
完全に埋まっているのが62目盛、一部が埋まっているのが70目盛なので、
神奈川県の面積は約2425㎢となる。
実際の神奈川県の面積は2415.84㎢となっており、今回の計算方法では④→③→②→①の順に正確であることが分かる。
地図の上におはじきを載せて数える①は、おはじきとおはじきの間にどうしても隙間ができてしまうため、正確さには限界がある。おはじきより小さいボタンやビーズなどを使えば、より実測値に近い値が出るだろう。
手作業で厚紙を切り抜く②も、誤差が生じやすい。また、紙という極めて軽い物の重量を測るため、相当に正確なはかりが必要となる。厚紙ではなく、鉄板や粘土などある程度重さのある物のほうが重量を測りやすく、より分かりやすい比較ができるかもしれない。
地図と方眼紙を使う③・④の場合は、方眼紙の目盛が細かければ細かいほど正確さを増す。ただし、③は概形に直す必要があるため、人によって解答が違う可能性が高い。ここでは台形という極端に単純な図形に直したが、元の形により近い複雑な図形に直せば、いくらでも細かく計算することができる。
三角形の内角の和は180°であることを、帰納的な考え方と演繹推論で説明せよ。
帰納的な考え方
さまざまな種類の三角形を自由に描き、それぞれ3つの角度を分度器で計って、その和を求める。
(ア) 正三角形
∠A=60°、∠B=60°、∠C=60°
∠A+∠B+∠C=180°
(イ) 二等辺三角形
∠A=48°、∠B=66°、∠C=66°
∠A+∠B+∠C=180°
(ウ) 直角三角形
∠A=54°、∠B=90°、∠C=36°
∠A+∠B+∠C=180°
(エ) 不等辺三角形(鋭角三角形)
∠A=61°、∠B=78°、∠C=41°
∠A+∠B+∠C=180°
(オ) 不等辺三角形(鈍角三角形)
∠A=110°、∠B=45°、∠C=25°
∠A+∠B+∠C=180°
以上のように、(ア)から(オ)全ての三角形において内角の和が180°であることから、あらゆる三角形の内角の和は180°であることが推定できる。
演繹推論
直線lと直線mは平行である。この直線l上に点A、直線m上に点Bと点Cを置き、3点を結んで三角形とする。
平行な2直線における錯覚は等しいことから、∠Bと∠Cは、下の図のように∠Aを挟む位置にある角度と等しい。
このように、三角形の全ての角が直線上の点Aに集まることになる。直線は180°であることから、三角形の内角の和は180°になると言える。
四角形ABCDは面積30㎠の平行四辺形であり、点E、Fはそれぞれ辺CD、ADの中点である。線分AEと線分BFの交点をG、線分AEと線分BDの交点をHとするとき、三角形AFGと三角形BGHの面積比を求めよ。ただし、小学校で学習する範囲の知識で解くこと。
まず、点Hを通り辺AD・辺BCに平行な直線を引き、辺ABとの交点をI、線分BFとの交点をJ、辺CDとの交点をKとする。
△ABHと△EDHについて考える。点Hを挟んで向かい合った∠AHBと∠EHDが等しく、対角線と辺の関係より∠ABHと∠EDHも等しいことから、残りの∠BAHと∠DEHも等しいことが分かる。よって、△ABHと△EDHは全ての角度が等しく、大きさは違うが形は同じ三角形と言える。
辺ABに対応する辺EDは、辺ABの半分の長さであることから、△EDHの三辺は△ABHの三辺それぞれの半分の長さである。よって、△ABH内の辺HIと△EDH内の辺HKの比は、HI:HK=2:1となる。(①)
また、BH:DH=2:1であり、辺IHが辺ADと平行であることから、BI:IA=2:1であることが分かる。(②)
次に、△ABDと△IBHについて考える。∠ABDと∠IBHは共通の角なので等しく、辺ADと辺IHが平行であることから、∠BAD=∠BIH、∠BDA=∠BHIである。よって、△ABDと△IBHは全ての角度が等しく、大きさは違うが形は同じ三角形と言える。
△ABFと△IBJについても同じように考えることができ、大きさは違うが形は同じ三角形である。さらに、①のBI:IA=2:1より、BJ:JF=2:1である。(③)
また、辺BJの延長線上にある点FがADの中点であることから、点Jも辺IHの中点であることが分かる。よって、IJ:JH=1:1であり、①のHI:HK=2:1より、IJ:JH:HK=1:1:1である。(④)
また、②のBI:IA=2:1より、辺BAと辺BIの比は3:2である。よって、△ABDと△IBHの三辺の長さは全てそれぞれ3:2の関係にあることが分かる。したがって、AD:IH=3:2である。(⑤)
④のIJ:JH:HK=1:1:1より、IK:JH=3:1である。辺IKは辺ADと同じ長さであることから、AD:JH=3:1である。辺AFは辺ADの半分の長さであるため、AF:JH=1.5:1=3:2である。(⑥)
次に、△AFGと△HJGについて考える。辺AFと辺HJは平行であることから、∠AFG=∠HJG、∠GAF=∠GHJということが分かり、∠AGFと∠HGJも向かい合う角度のため等しい。よって、△AFGと△HJGは全ての角度が等しく、大きさは違うが形は同じ三角形である。また、⑥より、△AFGと△HJGの三辺の比は全て3:2であることが分かる。したがって、FG:JG=3:2である。(⑦)
△HJGの三辺は△AFGの三辺のであることから、△HJGの面積は△AFGの面積のとなり、ということになる。よって、△AFG:△HJG=9:4である。(⑧)
また、③のBJ:JF=2:1と、⑦のFG:JG=3:2より、BJ:FG:JG=10:3:2であることが分かる。よって、BJ:JG=10:2=5:1である。△HJBと△HJGは、底辺が同じで高さが違う三角形であるため、△HJBの面積と△HJGの面積の比は5:1である。(⑨)
⑧の△AFG:△HJG=9:4と、⑨の△HJB:△HJG=5:1より、△AFG:△HJG:△HJB=9:4:20ということが分かる。
さらに、△BGH=△HJG+△HJBであることから、△AFG:△BGH=9:24=3:8である。したがって、△AFGと△BGHの面積比3:8である。