1.はじめに
慢性関節リウマチ(RA=rheumatoid arthritis)は原因不明の慢性・進行性の全身病で、四肢の変形・拘縮・強直をきたし、放置すれば関節可動域の制限、ADLの低下が起こり、関節を中心とする炎症・疼痛に悩まされるために、常に医学的管理とリハビリテーションを必要とする疾患である1)。治療には理学療法が重要であり、機能改善を目的とする。
今まで慢性関節リウマチについて学んできたが、実際に問題点抽出、プログラム作成などの理学療法の過程を経験する機会がなかった。今回実際に課題として与えられた一つの症例から、退院時の検査結果から問題点抽出、退院後の生活指導を考えることにより、慢性関節リウマチや理学療法の過程について理解していくことが目的である。
2.ケースの紹介
70歳代後半、女性
現病歴:発症は昭和60年6月に他院で指摘され、以降1年毎に病院を転々とした後、平成4年1月30日当科外来に受診し、2月20日入院となる。
既往歴:50歳から狭心症にて内服治療中、左白内障にて平成4年2月6日手術施行。
家庭環境:マンションの3階に居住し1人暮らしであるが、近所に長女と四女が...