事業者団体は様々な事業の共同化のための母体としての役割を有しているばかりでなく、行政の業務を代行するなど、行政と密接な関係を有する場合が多い。また、業界内で自主的なルールを作り、たとえば、規格・品質の統一、基準・認証制度の創設、公正な競争の維持、取引慣行の改善、労働問題やリサイクル・環境問題への対応などに取り組んでおり、そのきっかけが行政からの指導や要請などによることも少なくない。このような事業者団体の自主規制は、一定の水準の内容や品質、規格等を維持することによって消費者の利便性を向上させたり、社会的目的を達成するために必要なもので、事業者単独では果たし得ない課題や社会貢献を実現しようとするものである。しかし、反面、自主規制の内容や態様によっては、独禁法上問題が生じる場合もある。たとえば、事業者団体が自主規制や自主認証・認定制度を設けて構成事業者に対して特定の商品・サービスの開発や販売を行わないように強制する場合がある。こうした行為を独禁法八条の問題としてどのように取り扱うかが問題となるが、結局、自主規制の目的と手段のバランスの問題ということができる。
これまで、事業者団体による独禁法...