個別援助技術(ケースワーク)の理論と内容について
1、はじめに
ケースワークという言葉を最初に使い、考え方を最初に明確にしたのはM・リッチモンドである。彼女によって初めて個別援助技術が理論化、体系化された。彼女は利用者とその周りの環境に重点を置き、利用者への直接的活動と同時に生活環境による活動の重要さをあげ、その中で、情報収集による心理社会学的診断の必要性を説き、理論化したことはケースワークを慈善、経験的なものから専門的、科学的なものへと発展させることへとつながったのである。
カナダの社会福祉学者バワーズは個別援助技術を、「利用者とその環境の間に、個人の力、及び社会資源を導入するための人間関係の科学的知識と対人関係における技能を活用する技術(アート)である。」と述べ、その活動は創造的である。
2、個別援助技術の理論の変遷
ニューヨークのCOSの役員であったハミルトンは、利用者の現実問題と情緒問題の双方の解決を目指し、利用者の生活水準の確保と経験による成長のチャンスを提供することに視点を置いた。彼は「問題解決の過程は利用者自身の力で生活環境を改善する過程であるとし、利用者の能力を最大限...