介護保険制度の目的、理念について(制度導入の社会的背景を踏まえて)述べよ。
はじめに
現在、日本では急速に高齢化が進展し、これに伴い介護を必要とする高齢者も急増している。政府の推計では、要介護者は平成12(2000)年の280万人から、平成22(2010)年には390万人、平成37(2025)年には520万人へと増加するとみられている。高齢者のうち介護を必要とする人の割合は年齢とともに高くなり、85歳を超えると4分の1が要介護状態となっている。また、長寿社会においては、介護が必要な高齢者が増加するだけでなく、介護をする側も高齢化しているという問題がある。介護費用もかなりの額に上ることから、家族だけでは支えきれなくなっており、こうした現状を打開するため、社会全体で介護を支えていくことを目的として、平成8年11月に介護保険法案が国会に提出され、平成9年12月に成立した。
介護保険制度とは
介護保険は、老後に寝たきりなどの要介護状態になったときに備え、あらかじめ保険料を徴収し、介護が必要となったときに、介護サービスの給付を行なう制度である。 公的介護保険の運営主体、いわゆる保険者は市町村およ...