民法2(物権)

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先取特権者が物上代位権を行使するためには、なぜ、払い渡しまたは引渡し前に「差押え」することが必要であるかを論じなさい。

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民法判例債権問題物上代位差押物権債務目的抵当権

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先取特権者が物上代位権を行使する場合には、払渡し又は引渡しの前に「差押え」をしなければならない(民法304条1項但書)。

 先取特権に物上代位を認める理由は、追及効がないことから(民法333条)、転売後の目的物に対して行使できないためとされる。一方で、先取特権は公示を伴わないため、他の債権者など第三者を害するおそれがある。ただ、一般先取特権は債務者の全財産を対象とするので、物上代位は問題とならない。また、不動産先取特権は、登記によって追及効があるため、抵当権と同様、売買代金に物上代位する必要はないという説が有力である。よって、動産先取特権が差押えの中心問題となる。

 差押えの意義については学説の対立があり、特定性維持説、優先権保全説、第三債務者保護説など、見解は様々である。まず、特定性維持説とは、担保物権の効力は代償物にも当然に及ぶとする価値権説を前提とする。その上で、304条1項但書で差押えが要求されるのは、代償物が債務者の一般財産に混入すると、そのうちどの部分に担保権の効力が及んでいるかが不明になることから、特定性維持のためであると解する。つまり、物上代位の対象が特定されていれ...

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