行政法関係には権力的な関係と非権力的な関係があると言われるが、それはどのような意味か。行政訴訟法(行政事件訴訟法・行政不服審査法)や行政強制制度と関連させて考察すること。
行政法関係には権力的な関係と非権力的な関係がある。それはどのような意味か。 行政法関係といわれる法関係には一定の特殊性が認められている。その上で、特殊性を認めることの妥当性を判断しなければならない。そこで、権力関係と非権力関係の関係、意味を考える必要がある。
伝統的法学では、行政法を行政に関する国内公法であると定義し、行政法上の法律関係を権力関係と非権力関係とに分け、さらに非権力関係を管理関係と私経済関係に分け、適法法規と訴訟手続きを確定する、公法私法二元論が有力であった。しかし、この考え方は法律の明示的規定以上に特殊性を広く認めやすい傾向を有し、今日妥当の根拠を失っている。現在の学説においてはほぼ克服され、公法・私法の区別から概括的に適用規定を決定することなく、私法の適用可能性を前提として、具体的な行政活動の事案ごとに私法の適用があるか独自の取扱いが適切かを判断する、公法私法一元論に移行しつつある。しかし、この考えは特殊性を限定しすぎる傾向がある。これらの考えは特殊性を認める絶対的な基準とはならない。
行政権の行使に関する法的規制に特殊性が認められる最終的根拠は社会的要請にある。...