東京福祉大学通信教育課程「臨床心理学」のレポート参考に。
「心理療法について」
近代の科学は西洋医学に代表されるように、心と身体の分離を前提として発展してきた。しかし一方で、「心身症」に代表されるように、こうした心身二元論的アプローチではなかなか本質の把握が困難な問題が現代では増加している。心身症のように、問題が深くなれば、それはもはや「心」か「身体」かいずれとは決めがたいものがあり、このことは、人間の健康の問題には、心と身体の結びつきに注目する心身相関の考え方が必要なことを意味している。
モノが故障した場合、壊れた部分を修理して、元通り使用できるようになったとき、私たちは「なおった」という。怪我や急性身体疾患の場合も同じような意味で「治癒」の言葉が用いられる。このように、伝統的な身体医学をモデルにした「治癒」像は、症状の消失もしくは病前と同じ状態に復することだと概念づけられてきた。
しかし、心の問題を取り上げてみると、同じような考え方をすることは難しい。例えば、学校に行く時間になると、必ずお腹が痛くなったり、熱が出たりと身体の不調を訴える子どもがいたとする。しかし医療機関を受診しても身体に異常は見受けられない場合、それは子どもの「怠...