われわれの日常生活は、家族という集団に属しながら様々な社会生活を営んでいくことで成り立っている。森岡清美によると、「家族とは、夫婦関係を中心として、親子、兄弟、親近者によって構成される第一次的な幸福追求の集団」と定義される。しかし、家族生活は幸福追求といった平穏なものばかりではなく、病気や怪我、失業や教育、さらには介護問題を抱えることもある。戦後の家族形態は「家制度」が主流であり、家族は様々な福祉機能・自給自足的性格・家父長による縦支配関係を基にした強い結束力などを家庭内に有していた。そのため家庭内に生じる問題のほとんどは、私的な問題として家族間において解決していた。
しかし、高度経済成長期...