「カナダの歴史」
カナダの自然的特性と経済・社会における3つの枠組
カナダの広大さは、数値を見れば一目瞭然である。面積は997万km2、ロシアに次いで世界第二位の規模を誇る。その広大な大地は6つの大地形単位で構成されており、それぞれ太平洋岸地帯、ロッキー山脈地帯、中央平原地帯、五大湖セントローレンス川地帯、大西洋岸地帯、ハドソン湾岸地帯という。
寒冷さについても数値を見ればわかる。広大な土地のほとんどで冬の平均気温が-20℃前後であり、夏でさえも-15℃という地域が多いのである。寒冷さを物語るエピソードとして、カナダのオンタリオ州では、「家主は屋内の気温が22℃を下回らないように維持・管理しなければならない」という法律がある。なぜなら、そうしなければ水道が凍ったり、寒冷さによって家屋のどこかに異常が現れたりするため、暮らしてゆけないからである。
さて、前述したカナダの広大さと寒冷さという自然的特性はオンタリオ州のように州法にまで影響を及ぼすほど人間生活と密接な関わりがあるわけだが、もっと大きな規模で人々に影響を与えている。カナダの人口は約3100万人であるが、その70%が国土全体...