3500字程度のレポート。「先進国」のイメージが強いアメリカの貧困・ホームレス問題を取り上げる。日本との比較をしながら、レーガン政権、ニクソン政権、ジョンソン政権を経てアメリカ社会がどのように形成されてきたのかを論じる。また、ホームレス問題と退役軍人の関わりにも触れ、行政が何をすべきかをまとめた。
私にとってアメリカにはホームドラマなどでよく見るような中流階級の人々が多いイメージがあり、国民の経済的水準は総じて中の上、世界を引っ張るトップリーダーという印象が強かった。しかし今回レポートを書くにあたって調べ始めると、アメリカの貧困問題、格差問題の深刻さは日本をもしのぐものであり、その現状に非常に驚いた。また、アメリカの歩んできた道が最近の日本の状況と被っていることも興味深い。アメリカでは新自由主義が推し進められ、本来国が行うべき多くの事が民間にゆだねられた結果、国民は富裕層と貧困層に二極分化されてしまった。本レポートでは、格差社会における数多くの問題から特にホームレスの問題に着目して、貧困層を生み出すアメリカ社会のメカニズムを現在の日本と比較しながら、格差をどう解決すべきかを論じていく。
福祉政策重視だったニクソン大統領と対照的に、レーガン大統領は効率重視の市場主義を掲げ、企業の民営化などで経済活性化を目指す「小さな政府」を目指した。経済を発展させるための政策を次々と打ち出す代わりに、社会保障や人的サービスの削減を行ったのである。特にジョンソン政権時代に作られた要扶養児童家族扶助...