何が図書館職員にとって専門的で高度な仕事なのか、どんな仕事は臨時職員やアルバイトに任せればよいか、といった司書職中心的な職務思考に拘泥されないように積極的に利用者とコミュニケーションを図り、自らが信奉する専門的な職務を果たすこと、すなわち公僕としての意識と独自の専門職としての自負を均衡的に保つことが、司書には求められるのではなかろうか。そういった観点で捉えると、米国のように司書は専門的業務のみを専ら遂行していればよいという考え方には首肯できず、むしろ役所の様々な課に出向し公僕としての意識を高揚させるといった人事政策を試みるべきではないかと考える。
図書館情報学演習Ⅲ 期末レポート(2002年度冬学期)
テーマ① 司書の専門性と司書職制の在り方に関して
はじめに
このゼミで私は専門職としての司書に関わる問題に関して、その制度の是非を巡って様々な立場の人が投稿している文献をもとに発表を行った。その際のレジュメでは投稿文を簡略的に整理し、私なりの考察を少し加える程度であったが、今回のレポートでは焦眉となっている問題点を分かりやすく抽出しながら、考察や見解をさらに深めることを目標にしたい。
司書職制に関する課題と日米比較
図書館情報大学の薬袋氏が掲げる問題点をいくつか取り出しながら、それに対する自分なりの見解と米国との比較を試みたいと思う。
司書有資格館長や司書の配置が減少している。これは、新館建設のための国庫補助金を受ける図書館に司書有資格館長や一定数の司書の配置を義務付けていた図書館法の規定が改正されたためである。
自治体で働く非常勤・臨時職員は、一般行政職の約1割を占めているといわれているが、それに比して図書館の場合は、統計年鑑『日本の図書館1995年度版』を参照すると全体の約3割を非常勤・臨時職員が占めていることが分かる。また司...