第1課題 第1設題
「対人認知の歪み」「社会的推論の歪み」「自己認知の歪み」の中からひとつ選び、具体例を添えて解説しなさい。
人は他者の性格をどのような場合にも正確に判断できないと考えられる。それは、人は他者をあるがままに見るのではなく、様々な方向に歪めてしまう傾向があるからである。
対人認知は、人が他者について得た様々な情報を統合し、その人物の全体印象を形成する印象形成でなされるが、印象形成にはいくつかの特徴がある。例えば、ある医者が道端で具合の悪い人を介抱するという行動と、見て見ぬふりをして素通りする行動が明るみに出た場合、人は望ましくない情報を重視する。これは、ネガティビティ・バイアスと呼ばれる印象形成の1つの特徴である。さらに、望ましい行動は外的属性に帰属され、単に社会規範に従ったものと見なされやすいが、望ましくない行動は行為者本人の性格の表れと見なされやすい。つまり、他者の注意を引く望ましくない行動は、情報価値が高く、コストが大きい行動で、それをあえてやった人の内的属性に帰属されやすいのである。このような印象形成は覆しにくく、時間経過も持続しやすいという特徴がある。これは...