わが国の高齢化は、在宅介護において、①出口の見えない長期の介護、②高齢者が高齢者を介護する「老老介護」③家庭内の女性の無償労働による介護という在宅介護・家庭介護の限界に近い状況をもたらした。そのため1989(平成元)年、高齢者保健福祉推進十カ年戦略(ゴールドプラン)を発表し、1990(平成2)年の福祉八法の改正、1994(平成6)年の新・高齢者保健福祉推進十カ年戦略(新ゴールドプラン)の発表などの立て続いての福祉改革が試みられた。これらを受け、介護保険制度は、急速に進んだ高齢化に対応するため2000(平成12)年から施行された。
介護保険制度は、個人の尊厳を保持し、自立した日常生活を保障し...