乳児は知らない人に抱かれると泣いて嫌がるが、親に抱かれると安心し泣きやむことがある。これは親子間に愛着が形成されていることを示している。愛着の形成は、子どもの豊かな成長発達の為に重要視されるもののひとつである。そこで本稿では、愛着の形成について論じる。
愛着とは
愛着とは、恐れや不安などをもたらす状況において、特定の他者に接触しようとする傾向である。この行動は新生児の社会関係の中で生きていこうとする生得的な能力であり、その本能的な行動の作用により愛着が形成されるのである。そして、特定の他者に接触することにより乳児の恐れや不安が取り除かれ、自分は保護されているという感覚を獲得し、常に自分は特定の対象から保護されているという感覚が、新生児とその対象の間に信頼感を築きあげるのである。つまり、愛着とは、発達の初期に特定の人間との間に形成される情緒的な絆ともいえる。そして、後追いをする、しがみつくなど愛着の対象に対して示す具体的な行動を愛着行動という。
愛着の形成
愛着行動は、定位行動(追視・声を聞く・顔を見る等)、信号行動(泣く・微笑・発声等)と接近行動(後追い・しがみつく・掴む等)か...