序論
自律神経系は、ドキドキした時や興奮した時に主に働く交感神経系と、のんびりとリラックスした状態などで、主に鎮静的に働く副交感神経系に分かれている。私たちの体の器官は、これらの全く反対に作用する神経系から二重の支配を受けている。たとえば、恐怖や怒り等の情動が喚起すると、交感神経系の活動が活発になる。心臓の拍動が早くなったり、指先の血が収縮する。また、瞳孔も拡大する。一方、副交感神経系はリラックス状態や昏睡状態を促すために、鎮静的に働いている。このように、自律神経系の反応は、普通意思とは無意識に生じ働いているにも関わらず、様々な心理的変化と対応している。心理学では、自律神経の反応の中でも、特に、心拍や血圧などの心臓循環器系の反応、手の温度などの温熱系反応や、呼吸反応が、情動・感情、不安、ストレスなどのこころの状態変化を測る指標としてよく用いられる。
日々めざましく変化しつづけ、ストレスにあふれた現代社会に生きる私たちは、不安やイライラを感じることが多い。私たちの心と身体には密接に関係しているので、不安、葛藤、悩みなどが生じると、身体全体に余分な力が入り、行動に余裕がなくなる。また、...