学力調査を読み解く

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    資料紹介

    私は『希望をつむぐ学力』の「学力調査に見る日本の子どもたちの学力実態最近のPISA・TIMSS・文部科学省の調査結果から」を読んだ時、全体として著者の論に異議はありませんでした。しかし、PISAとTIMSSから提示されているデータとして3つ挙げている内の最後の3つ目、つまり「三つ目に、クラシックな蔵書数の違いなどの家庭の社会経済文化的背景が学力格差に強く影響するようになっていることである。」(田中耕治、『希望をつむぐ学力』、明石書店、2005年、134ページ)という部分が非常に気になりました。本文献には、そのデータが割愛されているのでこの本を読んだだけでは納得できなかったというのもあります。しかし、それ以上にこの部分が気になったのは、次のような文献を以前読んだことがあったからです。『読書の発達過程読書に関わる認知的要因・社会的要因の心理学的検討』(秋田喜代美著、風間書房、H9年)この文献は、学力調査とはほとんど関係のない本ですが、蔵書量と子どもの読書に関して次のように述べています。「一方、『子の読書量』へは、親の好意度や蔵書量との弱い相関が見られ、(中略)『蔵書量』は『感情』とは有意な関連はないが、『読書量』とは有意な生の相関を示している。すなわち、家に本があることは、読書量には影響を与えるが、感情へは直接影響を与えていないと推察される。
    学力格差の問題を論じている場に子どもの読書に関することを出してくるのは場違いかもしれません。

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    『希望をつむぐ学力』  第3章 学力調査を読み解く
     
    ◦レポートのテーマ
     家庭の社会経済文化的背景は、本当に学力格差に強く影響しているのか?
    ◦テーマ設定の理由
     私は『希望をつむぐ学力』の「学力調査に見る日本の子どもたちの学力実態〜最近のPISA・TIMSS・文部科学省の調査結果から〜」を読んだ時、全体として著者の論に異議はありませんでした。しかし、PISAとTIMSSから提示されているデータとして3つ挙げている内の最後の3つ目、つまり「三つ目に、クラシックな蔵書数の違いなどの家庭の社会経済文化的背景が学力格差に強く影響するようになっていることである。」(田中耕治、『希望をつむぐ学力』、明石書店、2005年、134ページ)という部分が非常に気になりました。本文献には、そのデータが割愛されているのでこの本を読んだだけでは納得できなかったというのもあります。しかし、それ以上にこの部分が気になったのは、次のような文献を以前読んだことがあったからです。『読書の発達過程〜読書に関わる認知的要因・社会的要因の心理学的検討〜』(秋田喜代美著、風間書房、H9年)この文献は、学力調査とはほとんど関...

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