住民にとって身近な位置にある地方自治体では、介護保険制度の運営や保育所の経営、在宅サービス提供や社会福祉法人の指揮・監督などといったいくつもの事務が行われている都道府県と地域住民の基礎的自治体である市町村ではその対象とする事務の範囲が異なっていることはいうまでもない。都道府県は福祉行政の広域的調整、事業者の指導監督などにあたり、市町村はサービスの実施主体、介護保険制度における保険者となっている。
地方自治体における福祉行政の役割であるが、一口に地方自治体といっても、都道府県と市町村、さらに一部事務組合などでは福祉行政の役割と分担が異なっている。例えば、都道府県(政令指定都市を含む)の福祉行政では、社会福祉法人や社会福祉施設の許可や指導・監督、各種更正相談所、児童相談所などの設置、補助金の配分などが主要な業務となっている。これに対して、市町村では介護保険制度の管理・運営、在宅および社会福祉施設サービスの提供をはじめとする住民に直接かかわる業務を中心に構成されている。
国と地方自治体の社会福祉を含む行政のあり方については1986年の「地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理...